2010年3月23日火曜日

ビッグ ドリーム

久しぶりに空を飛ぶ夢を見た。


乗り物は2メートルにも満たない小型の
プロペラの付いている飛行機で

ぱらぱらと回るそのプロぺラの軽い音は
壊れそうな気配が漂っている。




前置きは忘れたが、私はその飛行機に乗り
エンジンをかけふわりと飛び上がった。
(飛行機なぞ現実では運転できないが
夢の中では全能であった)

機体は100メートル程の高さに一気に上がり
眼下には見たことのあるような無いような
近未来な巨大ビルが立ち並び、
夕焼けに染まっていた。



おぼつかない機体は風に押され、又さらに上昇する。

数100メートルの遥か下には濃紺の海が
大きく広がっており、沈没した船の黒く錆びた艇首が
いたるところから突き出ている。

その沈没船もどれも巨大で
突き出た艇首に手が届く程の
山のようなサイズである。

それが広大な濃紺の海上の
いたるところに突き刺さっていた。




・・・・・・・・




実は寝る前に、東京スカイツリーの写真を
ぼんやり見ていた。

どうやらその印象が少なからずにも
夢に出たようである。

(ちなみに現在のツリーの高さは
300メートルを超えたとのこと。
最終的にはその倍にはなる予定のようである
・・すごい)



夢は時折、一般的に非常識であったり
非日常的な壮大な展開が起こる。

どうも冒険や、スリルを求める傾向は意識の深くにある
「全能意欲」の現われなのかもしれないと思う。

この「全能意欲」というのは
「思うように何でも出来る事への憧れ」という意味である





「ヒトとサルのあいだ」著:吉田脩二(文藝春秋)を読んだ。

赤子は母のお腹の中では、自ら欲するものは無く
全能感に包まれているという。

そして出生と共に全能感は失われ
その記憶を求めるように、常に母体にいるような
周囲の世界との一体感を希求してやまないとある


つまり何か一体になれるものを
ヒトは常に探しているという

それは他人と共感することだったり
趣味に浸ったりすることもそうだろう
踊りも音や空間と一体になることでもある・・


しかし当然ながら全能感はなかなか
母体程の満足の形には至らない

しかし人は一体となれるものを求めるのである。




話は変わる




この世の中には、微生物、植物や動物
ヒトなど様々な生命体がある

生命の誕生から、様々な環境の変化に
対応し適応し姿を変え
それぞれは今日の姿として存在してる

その形はおもしろいほど多種多様である


現在の生活において、生命体の安全が
事故でもない限り、確実に保障された
生活環境下では、基本的に外見的
内面的にも進化の必要は無いだろう


変わらなくとも生きられる


しかしヒトが限界に挑み、冒険をし
危険に立ち向かうなど、その命の危機へ
向かおうとする強烈なエネルギーは
どうも無意識下での生命体として、
大きな進化を求めている姿のように思えてくる。

つまりそれは、我々生命体が
完成をしていない現われであり

社会対応の出来ない深層の意識は
最高であった全能の記憶を求め、進化すべく
生命危機に陥るリスクへと挑むことに思える

(冒険には至らないまでも、傾向として、
人は出来ないことをやろうとするが
それはヒトとして、今を生きる上での
自然な意識の働きなのかもしれない)



現在一般的に我々は全能になるために至福に至るため
ヒトと一体になろう、社会と一体になろうとしている

しかしその行為の先には赤子が母体の中にいるように
泣くこともなく全能感につつまれる未来があるのだろうか・・

もちろんこのヒトや社会との一体化は、自分も求める所である
しかしヒトへの依存は、自然環境をことごとく見失う

つまりはもっと大きい括りでの一体感としてヒトとつながる事
社会とつながる事としてとらえる必要があるだろう




・・・・・・・

横浜にドヤ街と言われる寿町がある
ドヤとよばれる簡易宿泊所が立ち並ぶ地域で
生活保護者、日雇い労働者が多く住む一帯である

その町のイメージアップに、アートと町をつなげようと
寿オルタナティブ・ネットワークが立ち上がり
2年前より活動が始まった。

ダンサーの山田うんさんの紹介のもと
総合プロデューサーの河本さんに
町を案内してもらった。

宿泊施設は2~3畳で風呂トイレ共同値段は
確か一泊2200円。一月なら66000円になる。
(宿泊費、もしかしてもう少し上がっていたような・・)

この値段ならもっと良いアパートはあるが
諸事情があったり、保証人のいない人たちは
生活保護の支給があってもなかなか普通のアパートを
借りることは難しい。

建物も古く、人もたむろをし、日本の町という感覚ではなく
確かにアジア圏の途上国の印象もある。

しかし覗いた数箇所の宿泊施設内は
手を加え明るいイメージになり
アート作品の展示も施設の一角にはあり
閉ざされた町は変貌の輝く兆しがある。



ソケリッサ!のおじさん達が
この町で踊ることを想像した。





ヒトが踊り、町が踊り、社会が踊り


そして母体の大地が踊る

















本日はこの辺で・・





※「ヒトとサルのあいだ」著:吉田脩二(文藝春秋)

 この本私は好きです。

後半、興味深かったのが、農耕民族として生活している上で
狩猟民族との意識の差が相当違うことがわかる所

見ている景色が大きく広がる著者の視点はすばらしい。
著者は精神科医、画家と言う肩書きです。


※山田うんさんHP
 http://www.yamadaun.com
エネルギー溢れています。


※KOTOBUKIクリエイティブアクション
 http://kotobuki08.exblog.jp/9760546/

アーティストやクリエイター、プロデューサーらをはじめとして、
様々なかたちで文化芸術に携わる活動の担い手たちが、
日本三大ドヤ(簡易宿泊所)街のひとつである
横浜・寿町エリアを舞台として活動する試みです。