2009年1月21日水曜日

家族愛

新年明けましておめでとうございます。
本年もいっそうの御愛顧よろしくお願いします。



今年は正月の話から

さて、一年で国民が最も幸せを願う、縁起エネルギー溢れる正月、
そしてそこからそれぞれの日常にもどっていく過程、
この一連の感覚は自分の好きな時間である。

休みが長くなればそれだけ身体もだるくなり、
重い腰を上げ、日常モードに戻さなくては・・と一般論に思うかもしれないが、
実は5日間ほど正月を過ごした身体は、とてもリラックスした状態であり、
休み明けの踊りは、開放的に思考と身体が使える最高状態である。

新年の希望を抱き、緩んだ思考と身体、
この状況が保てれば人は病に伏せる確立が減るような気がするのだが・・

しかし残念、どうやら逆が常になっているのである。


初詣は高尾山へ行った。

頂上近い薬王院有喜寺までは二人乗りリフトとケーブルカーが設置されており、
リフトに関しては全長872メートル 、山上駅まで約12分と記されてある。
目的地は山上よりさらに20~30分ほど歩く。

もちろんふもとより歩いて登りお参りをする人も多い。
自分も過去一度歩いたのだが、次の日見事に筋肉痛に苦しんだ。

歩きだと約1時間半。本来はそうかんたんに目的地に行けない事に意味があり、
そこに御利益もありそうなのだが、自分は楽をしてリフトに乗る。

薬王院有喜寺HPによると1260余年前の天平16年(744)に”開山”された。とある、
つまり山頂の建物だけではなく、山自体が信仰対象であり神様なのである。
自然や物を大事にし、自然とともに暮らすという古人の発想は素晴らしい。
よく岩や巨木などに注連縄(しめなわ)が巻かれたりしている光景も同じく、
自然のなかに神様が宿るという事なのである。

そしていわゆるその神の領域を、現在参拝者はリフトを使い、
楽をして幸せそうに登る訳であり、
ある意味これは贅沢なのか愚行か本質はよくわからなくなる。

とにかく今年は快晴で、緑溢れるふもとから都心までリフトより一望出来た。
リフトから降りて、甘酒やお団子の溢れる山道を歩き目的地に着く。

神前にて手を合わす。




昨年末「家族愛」という作品を作った。
出演者は自分の生徒達中心で、小学生から主婦までと年齢層は幅広い、
衣装は白Tシャツ。

胸にはそれぞれ 子供 おじいさん サラリーマン 母 中学生 三才 
アメリカ人 となりの人 婦人会役員会長 にわとり 木・・
小学生だろうがおじいさんだったり、サラリーマンだったり、日常や年齢等関係なく、
出演者それぞれの書いた習字でプリントしてある。

今回様々な家族形態をシャッフルしたかったのである。

つまり舞台上では”子供”とプリントしてある主婦と、
”サラリーマン”の小学生が一緒に踊り表現をするという、
文章上ややこしい関係が繰り広げられるのである。
組み合わせや、表現形式で、見ていると様々な景色が広がってくる。

作品制作は潤滑で、出演者は懸命に表現に徹し、
それぞれの家族の捉え方も浮かんできた。


ここで昨年のインドでの話。

ブッダガヤでお経のCDを売っていた少年、
バラナシでの花売りの少女達、父親の土産店に盛んに誘う少年、
彼らは皆10代そこそこで、対等に英語で話しかけ値段交渉にも
大人顔負けで応じる子供はたくさんいた。
必死にお金を稼ごうとしているのである。
彼らは皆、親のため、家族の生活のために
働いていると当たり前のように話す。

家族愛である。

タクシーや物売りのおじさんは、
あどけなく笑いながら平気で10倍もの金額を提示する。
子供で大人、大人で子供、別に何でもいいのである。
牛も道を歩き、サルも町にいて良いのである。

カテゴリーとはなんだろうと感じた。

整理も程ほどにしなければならない。
さもなくば何もかも名詞で分類し、
名詞の優越で、その価値も決めてしまうことになる。
本質は消え行くのである。

ちなみに自分の胸のプリントは”さる”であった

さて舞台の方はおかげさまで満席となり、
見に来ていただいた子供から、お年寄りまで、
楽しめたと、暖かい感想をたくさんいただく事が出来た。

「ソケリッサ!」のおじさん5名も皆来てくれた。
現状3名はまだ路上で寝ている暮らしである。
差し入れにおじさん達はどら焼きをくれた。
有名銘柄で8個入り、何千円かはするはずである。
このどら焼きは格別おいしかった。

それぞれの家があり、家族があり、暮らしがある。
観客も出演者も、その宴の後現実の家に帰って行く。

自分の芸術活動が成り立っているのは
本当にたくさんの方々のおかげであり、感謝しきれない。
このまま甘んじていれば地獄行きは確実である。


神前に手を合わせ、顔を上げた。
不況ということもあり今年は昨年よりも参拝者は多い。
子供の頃は、思いつく願い事を片っ端から並べて、
よく長い時間手を合わせていた。
今では基本的に時間短縮、
さっぱり感謝と無心で手を合わすことが多いのだが・・

今回は、家族の幸せである。

帰りもリフトに乗った。




さて今年もソケリッサが始まる。詳細は又次回に・・

※宮崎による代理投稿。執筆はアオキ裕キ

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